人類

いつも中学三年生の息子とは、さまざまな話題を時間をかけてじっくり話す。

たいていは朝の朝食の時間。

そんなわけで、我が家の朝食の時間は小一時間、たっぷりとってある。

 

 

話題は息子の好きな鉱物の事だったり、脳科学、宇宙の事だったりするのだけど

もっぱら命について、人間についての話題が多い。

わたしが読んだ本をもとにして話をする事が多いからかもしれない。

 

 

ライオンの世界では

一頭のオスが、数頭のメスを引き連れ、ハーレムを形成している。

そこへ別のオスがメスを奪いにやってきて、その群れのリーダーであるオスと対決する。

やってきたオスが勝利した場合、

敗れたオスとの間に生まれた子供ライオン達は一匹残らず殺される。

その殺される様子を、メスライオン達はだまってみつめている。

そしてすべての子供達が殺されると、メスは発情し、勝ったオスライオンと交尾をし、また新しい命を宿す。

より強い子孫を残すためにライオン達が選んだ道だ。

天敵がいないがために、自分たちで殺し合う道を選んだのだ。

 

 

人はどうなんだろう?

ライオンと同じなのだろうか?

これはずっとずっと、息子と話し合ってきた課題だ。

残虐行為や戦争は、人間自らが、本能によって引き起こしているのだろうか?

弱い子供達やお年寄りや

虐げられる人たちが後をたたないのは、どうしようもない事なのだろうか?

これはずっとずっと、わたしの中でも答えの出ない問いであった。

 

だけど最近になってわたしは少し希望を見出している。

確かに人々は残虐行為を繰り返してきた。

だけど確実に、

平和を訴える声が増えてきている。

数十年前のデモと言えば、火炎瓶を投げ合って機動隊と衝突。

多くの血が流れていた。

 

だけど、息子と一緒に参加した、藤沢での半原発デモは

小さな子供達がベビーカーに乗って

太鼓、笛、タンバリンを片手に

色とりどりの風船をもって、

みんなで歌いながらの、さながらお祭りの様な雰囲気だった。

 

愛を持って平和を訴えよう。

そういう時代が来たのかもしれないよ。

 

そんな事を息子に投げかけてみたら

 

でも、そんな事をしたら、人口増加は止まらないのではないか?

どこかで調整しないと、地球から人があふれ返ってしまう。

現に世界人口はすでに70億人だ。

 

確かに人口は増えている。

だけど、人口増加が著しいのは、じつはアフリカなど、貧しい国々だけの事なんだ。

先進国では産まないという選択が増えつつあり

日本も今、少子化が問題になるほどに、人口の減少は止まらない。

 

これはもしかしたら

残虐行為や戦争などに頼らずに

人間自らがコントロールしようとしている流れなんじゃないかな?

これからの時代は

愛をもって、自らをコントロールできる時代が来るんじゃないだろうか?

 

人間は

多くの血を流して、苦しみ、ようやっと、今、学び始めているのではないだろうか?

 

 

いつもいつも、息子と話をしていると

暗い話題へ言ってしまっていたのだけど

ひさしぶりに息子と

人類の未来にも希望があるのかも

そんな結論に行き付き

 

息子の顔が明るくなったのがうれしかった。

 

若い世代が

明るい未来に希望を持てる様にしていかなければならない。

 

あまりにも今の若い子達は

世の中に絶望している。

 

未来をしっかりとみつめていきたい。